リスさんは森クマさんに「ここ、すてきなおうちですね」と話しかけると、森クマさんは木の看板を両手で持ちながら、「ここはクマ牧場という森の中のカフェなんです」と答えました。
「あ、よかったですー。電話で予約したリスです」
「ネットに情報がなくて・・・」
「はい、おまちしておりました」
「一人でカフェをやっているので、たくさんのお客さんは受けられないんですよ」と森クマさんは笑いながら答えました。
ウェブデザイン会社に勤めるリスさんは、会社のオフィスに入っているカフェで、「森の中のクマ牧場というカフェがまったりしててヤバイ」という会話を偶然耳にしてから、気になって仕方ありませんでした。
残業続きの仕事の合間、趣味である全国の秘カフェ巡りの情報収集をしているのですが、森クマさんのクマ牧場カフェはネットに情報が一切ありませんでした。
そこで、電話帳を調べてみるとクマ牧場の連絡先が載っていたのです。
「こちらにどうぞー」と森クマさんはリスさんを丸太で作ったテーブルに案内しました。
「はい、ありがとうございます」
「今日のメニューはこちらになります」と森クマさんはメニュー表を出しました。
そこには美味しそうなメニューがたくさん並んでおり、リスさんはなかなか決めることができません。
リスさんは「おすすめは何でしょうか?」と聞きました。
クマ牧場カフェのメニュー表には、レモネード、チョコチャンクスコーン、もつ煮がありました。
おすすめを聞かれた森クマさんは「そうですねぇ、レモネードとスコーンですね」
「どちらも自家製なんですよ」と教えてくれました。
もつ煮がちょっぴり気になるリスさんでしたが、森クマさんのおすすめを頼んでみることにしました。
「それでは、それをお願いします!」
キッチンに戻ると、森クマさんは去年の夏に漬け込んだ特製レモネードのシロップを取り出し、デュラレックス ピカルディのグラスにそっと注ぎました。
辺りには爽やかなレモンの香りが広がります。
それから手際よくお湯を注ぎ、ホットレモネードの完成です。
暖められたレモネードシロップから、湯気と一緒に柔らかくなった甘酸っぱいレモンの香りが立ち込めます。
「はい、お待たせしましたー」
「スコーンはお待ちくださいね」と森クマさんは特製ホットレモネードをリスさんの丸太テーブルの上に置きました。
森の風が爽やかなレモンの香りをリスさんの鼻をくすぐります。
「うわー、おいしそう!」
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