カナブンとカメムシと一緒に民藝を知ろう!
カナブンとカメムシの絵本「民藝の心」は、丁寧な暮らしを実践する意識の高いカナブンとカメムシのカップルが「民藝」について学ぶを深めていく、文字の多さ世界最大級の絵本です。
ところで、 久しぶりに 日本民藝館に 行きたいなー
え、民藝館って何? 気になる―
民藝館ってのはね、日本の民芸品を集めて展示している、目黒区の博物館なんだよ
民芸品って、クマの木彫りとかこけしとか?
うん、そうだね
例えば食器なんかもあるし 他にも、染織品、木漆工品とかね
そもそも 「民藝」っていうのは 「美の概念」の一つなんだね
民衆の用いる日常品の美について なんだけど、思想家の柳宗悦さんを中心に、無名の職人達が作った民衆的工芸品を 「民藝」と名付けて 「暮らしの美」を啓発する 民藝運動へとつながっていったのさ
あ、そうなんだー、文字多くない?
もともと柳宗悦さんは、西欧近代美術の紹介などをしていたんだけど、ある日、友人の浅川伯教さんが持ってきた朝鮮陶磁器を一目見て、 ドキューン!と来ちゃったわけ
そうなんだね
これまで見てきた西洋美術にはない 歴史や土地柄など 民族固有の造形美を見出したなんて 相当な衝撃だったんだろうなー
ペロォ
・・・うん、そうだね
柳さんは民藝の定義として、 民衆が日々用いる工藝品で、 最も深く人間の生活に交る品物の領域である言ってるね
民藝とは民器であり、 民家は民衆の建物で、いわば建物の中の民藝として、 その美の定義をただの食器という「物」ではなく、大きな概念として定義したってことに意義があるんだと思うんだよね
ブツブツ、ブツブツ・・・
・・・
じゃ、具体的にどんなものが あるのー?ってなるでしょ?
グイッ
はあ・・・(やんっ)
柳さんが主張した 民藝の特性として いくつか挙げられるんだけど
●実用性…鑑賞するためにつくられたものではなく、なんらかの実用性を供えたものである
●無銘性…特別な作家ではなく、無名の職人によってつくられたものである
●複数性…民衆の要求に応えるために、数多くつくられたものである
●廉価性…誰もが買い求められる程に値段が安いものである
●労働性…くり返しの激しい労働によって得られる熟練した技術をともなうものである
●地方性…それぞれの地域の暮らしに根ざした独自の色や形など、地方色が豊かである
●分業性…数を多くつくるため、複数の人間による共同作業が必要である
●伝統性…伝統という先人たちの技や知識の積み重ねによって守られている
●他力性…個人の力というより、風土や自然の恵み、そして伝統の力など、目に見えない大きな力によって支えられているものである
うわぁ多っ!画面真っ黒だよ・・・
民藝とは、いわゆる用の美のこと
良く勘違いしちゃうんだけど この特性を「民藝の条件」って 取っちゃうんだね
民藝の特性と民藝の条件はニュアンスが違うの
当時蒐集・調査した 数多くの民藝の中の美の特性を 整理したら、この9つにまとまるよ! てことなんだよね
他にも・・・「無心の美」とか「自然の美」とか「健康の美」などあるよ。
最高の笑顔だね。
例えば、協力性の美として、 複数性、労働制、分業制が 挙げられるけど、一昔前の焼物の例を取れば、 ろくろを引く人、削る人 描く人、焼く人とか、 いろんな人が協力して 完成されていくでしょ
ここがポイントで、民藝品は 個人で生み出されるものではなく、多くの人の協力があって完成されるということに大きな意義があるって言ってるんだね
工藝は機械製品と手工藝に分けられ、手工藝は貴族的工藝と民衆的工藝に分けられる
貴族的工藝は装飾的で高価な上等品、一方の民衆的工藝は実用性、多量に作られることと、それが廉価、 常態の美、健康美 単純性、協力性の美という面を持つ
柳さんは美の概念をその主張の中で丁寧に説明していて、この民衆的工芸に位置づけられるものが美を持つ民藝品と整理されたんだね
そんな日本民藝館は 渋谷から2駅、 駒場東大前から 徒歩7分のお散歩
目黒区! 意外と近くにあるのね♪
ところで 民藝の概念が確立していったのは その時代背景もあるんだよね
例えば英国で18世紀半ばから19世紀にかけて起こった産業革命では機械での製造によって生活用品が安くたくさん作られたじゃん?
うん、知らない
人々の暮らしが豊かになる一方で、それまでの手で作っていた地域に根付いた物作りが荒廃してさ
大量生産による粗悪品が市場に出回ってたワケ
そんな中、モダンデザインの父と呼ばれるウィリアムモリスは産業革命以前のデザインやギルド(組合)を取り戻そうと「アーツ&クラフツ運動」を展開し、生活と芸術の一体性を説いたんだよね
大きな変革に対する アンチテーゼだし、持続可能な社会の基本的な哲学とも言えるよね
以降、造形美の領域は、美術と工芸、芸術家と職人のように 対峙的に用いられるようになったの
Arts & Craftsは哲学!
話が長えのよ
ここまで聞くと、柳さんが「民藝」に関する数多くの出版をなぜこんなに残したのか?気になるでしょ
うん、気にならない
それはさ、民藝品の美しさがほとんど認められていないうえ、いわゆる「美術品」と呼ばれる物が余りにも高く評価されていたから、これを修正しよう!直観的に美しい物は美しく、多くの無銘品にその美が宿っていると主張したんだよね
そんな当時の民藝運動の中、日本民藝館の開館を皮切りに、民藝品の保存という使命を帯びた民藝館が全国各地に建設されたんだね
日本全国にそんなにたくさんあるもんなのかしら?
僕が行ったことのある場所は 、日本民藝館(目黒区)の他に、香川県の栗林公園にある「讃岐民芸館」、岡山県の「倉敷民藝館」と 「大原美術館工芸館」、それと愛媛県の「愛媛民藝館」だね
ねえ、誰と行ったの?
青森県の「棟方志功記念館」は 土手の上を疾走する 棟方志功さんの写真が良かったなー
ボク、あの写真見て志功さんの メッチャファンになったもん
ねえ、誰なのよ!?(プ~ン)
柳さんは「民藝館」の抱負について 美に対する在来の見方は 全く因襲に捕われたものとして 美学に対し一つの革命を 起そうとしているんだって!
ボクも何か 革命を起こしたいなー
革命の前に事件が起きるわ
展示物には説明書きはないの
つまり、自分で見て美を感じよう! ってことなんだね
たくさん展示してあるけど 全部見なくてもOKで、その展示品の時代背景やここに展示されるまでの歴史を想像するってのも良いよねー
民藝館の特徴としては 家庭的な住宅的な雰囲気の中で美しく陳列している点かな
それと古いものばかりではなく新しい工藝の陳列も行っているんだ
過去の民藝品に美を学び、これを新しい作品に植え付けたい、という思いが引き継がれているんだねぇ
そうそう、柳さんも日本民藝館の 宣伝用の本を出版しててさ! それが面白いのよ!
『渋谷からわずか数分よりかかりません。 一番便宜なのは渋谷駅から 帝都電車で三つ目の駅「駒場」で下車、 西へ二丁です。』
昔はこんな道の説明だったんだね! ボク、迷っちゃうなー
あと、タクシーの場合は、 『よく駒場を駒沢と間違える 運転手があるので御注意ください』 だって!8キロくらい違うよー
当時の観覧料は一人三十銭てことで、今だとどのくらいなんだろうねえー
ベラベラ、ベラベラ
よし、じゃあ、 日本民藝館に出発だー!(ブーン)
日本の手仕事 たのしみー。(ブーン)
とうちゃーく!あれ、閉まってるねぇ・・・
あらー、月曜日は休館日だって!
ショップで 柳宗理のスプーン 買いたかったなー・・・(しょぼん)
そうだ! 今日はすぐそこの 「駒場野公園」を散歩しよう!
いいねぇ! 樹液、吸いに行こう!
コメント