絵本 クヌギ森のへんしんしっぽ屋さん

クヌギ森のへんしんしっぽやさん|カブトムシとクワガタの絵本 お知らせ
クヌギ森のへんしんしっぽやさん|カブトムシとクワガタの絵本

「クヌギ森のへんしんしっぽやさん」は、ちょっとドジでえばりんぼうなカブトムシと、ライバルのクワガタ、そして謎の発明家・ドクター・トゲカメムシが登場する、昆虫たちのドタバタ変身ストーリーです。
クヌギの森を舞台に、“力とは何か?”“本当の強さとは?”をユーモラスに描いた絵本。虫好きの子どもはもちろん、大人もクスッと笑ってしまうちょっとブラックな冒険です。

クヌギ森のナワバリ騒動

カブトムシがクヌギ森の上を飛ぶ
カブトムシがクヌギ森の上を飛ぶ

ここはたくさんの動物や昆虫が暮らす自然の楽園クヌギ森。今日もカブトムシは自慢のツノを整えながら森をパトロールしています。するといつものナワバリに昆虫たちが集まっていました。

カブトムシがナワバリの昆虫たちを投げ飛ばす
カブトムシがナワバリの昆虫たちを投げ飛ばす

カブトムシはナワバリの蜜場に集まった昆虫たちを蹴散らし、弱肉強食のクヌギ森では「力だけが全て」と言いながら、蜜場を独り占めするのでした。

カブトムシは力だけが全てだと伝える
カブトムシは力だけが全てだと伝える

蜜場から追い出された昆虫たちがしょんぼりしていると、クワガタが通りかかりました。

どうやらクワガタは、最近駅前にできたジムに通い始めたようで、ムキムキマッチョになっていました。駅前ジムは、伝説の覆面レスラー・マイティー北原のジムで、クワガタも伝説になりたいと、トレーニングに励んでいるのでした。

マッチョになったクワガタはジムに通っている
マッチョになったクワガタはジムに通っている

筋肉話で盛り上がっている中、クワガタはカブトムシに気が付きました。

カブトムシは夢中で蜜を舐めていて、クワガタに全然気が付かないようです。

カブトムシをトントンつつくクワガタ
カブトムシをトントンつつくクワガタ

食事の邪魔をされてご機嫌斜めのカブトムシ。自慢の百獣の王のツノで投げ飛ばしてやろうと、カッ!と振り返ると、クワガタの太い腕にぶつかりました。

クワガタのあまりのガチムチっぷりにビックリのカブトムシ!カブトムシにトレーニングの成果を見てほしくて、クワガタは大胸筋をピクピク動かしてみせるのでした。

振り返るとガチムチクワガタがいてビビるカブトムシ
振り返るとガチムチクワガタがいてビビるカブトムシ

クワガタはカブトムシにそっと手をかけ、「ひとりじめしてるの?」とやさしく聞きました。
クワガタは、「あなたはひとりじめするような子じゃないでしょう?」とお話ししました。

クワガタは、他の昆虫たちにも「みんなで仲良くしなさいねー」と声をかけるのでした。

カブトムシの頭部を締め付けるクワガタ
カブトムシの頭部を締め付けるクワガタ

ガチムチのクワガタに諭されて、悔しさを感じたカブトムシは蜜場から飛び出し、クヌギ森の中をトボトボと歩きながらつぶやきました。

「はぁ~ もっと強大な力を手に入れて、この森中の蜜場をアタシだけのものにしたいわ・・・」

もっと強大な力を欲しがるカブトムシ
もっと強大な力を欲しがるカブトムシ

へんしんしっぽやさんとの出会い

「ァバァ!!」

突然、カブトムシの目の前に誰かが飛び出してきました。

「元気になるイイモノあるよっ!」とトゲカメムシに声をかけられ、カブトムシはビックリ!

「いえ・・・べつに・・・何も・・・」とカブトムシは断りたいのですが、トゲカメムシの押しの強さときたら、断り切れないのです。

カブトムシの目の前に飛び出してきた謎のカメムシ
カブトムシの目の前に飛び出してきた謎のカメムシ

トゲカメムシは、カブトムシの肩に手をかけ、「すぐそこだから!」と案内しながら、ツノをじっと見つめるのでした。

案内されたのはしっぽ屋さん
案内されたのはしっぽ屋さん

彼に案内されて入ったのは、なんと「しっぽやさん」。店内の壁や天井には、ヤギ、ゾウ、魚など、宇宙中の「しっぽ」がずらりと並んでいます。

店主はドクター・トゲカメムシと名乗り、シビれるケムリとか、すべて忘れて元気になるラムネなどを取り出してきましたが、「今はしっぽ屋さん」です。

しっぽ屋さんにはシビれるケムリ、全て忘れて元気になるラムネもある
しっぽ屋さんにはシビれるケムリ、全て忘れて元気になるラムネもある

しっぽ屋さんって何でしょう?

トゲカメムシはひとつのしっぽを取り出すと、突然、カブトムシのお尻にスパァーン!と取り付けました。

カブトムシのお尻にしっぽを取り付けた
カブトムシのお尻にしっぽを取り付けた

するとどうでしょう!カブトムシの体はグッグッと動き、なんとヤギになってしまったのです!

「メェェェェェェェェェェェー」ムシャムシャ

しっぽ屋さんのしっぽを取りつけると、そのしっぽの持つ力が自分の力になるのです。

チーターのしっぽを付ければチーターのように早く走り、サルのしっぽを付ければしっぽでぶら下がったり・・・。進化の過程で得たシッポの持つ力を手に入れることができるのです。

動物のしっぽを付けると、その動物の力を手に入れることができる
動物のしっぽを付けると、その動物の力を手に入れることができる

「当店では力のあるしっぽ、あらゆる動物のしっぽを取りそろえております」とトゲカメムシ。

でも、シッポを切られてしまった動物たちはどうなってしまったのでしょう・・・。カブトムシはしっぽを切られた動物たちのことを思うと悲しくなってしまいました。
「しっぽを切られちゃった動物さん・・・かわいそう・・・うっうっうっ・・・」

宇宙中のシッポはカメムシの手作り品
宇宙中のシッポはカメムシの手作り品

「その点はご安心ください。当店のシッポは全て手作りでございます」

しっぽのひと針ひと針に、トゲカメムシの愛が込めれれているのです。

それだけでどうしてしっぽの力が出せるのでしょうか?それができるのです。

しっぽの仕上げに、本物の動物のフンを入れて完成させるのです。

しっぽには本物の動物のフンが入っているのでパワーが宿っている
しっぽには本物の動物のフンが入っているのでパワーが宿っている

最強への変身

しっぽの力の秘密は分かりました。カブトムシはあらためてお店の中を見回しました。全宇宙から集めたしっぽなので、しっぽに見えないものもたくさん置いてあります。

伝説のレスラー、テイオウハムシーのレスリングスーツも置いてありますが、これはトゲカメムシの趣味の品。引退試合で使用したスーツなので、ちゃんとフンもついています。

伝説のレスラー、テイオウハムシーのレスリングスーツ
伝説のレスラー、テイオウハムシーのレスリングスーツ

トゲカメムシはレスリングスーツをカブトムシに勧めました。「こいつにもパワーが宿っているぞ」

カブトムシはちょっと汚れたレスリングスーツを丁重にお断りして帰ろうと思いました。

でも、トゲカメムシは帰らせまいと、レスリングスーツを素早くカブトムシに着せ、魚のしっぽ、ゾウの鼻をピッピッと手際よく取り付けました。

レスリングスーツ、魚のシッポ、ゾウの鼻を取り付けられるカブトムシ
レスリングスーツ、魚のシッポ、ゾウの鼻を取り付けられるカブトムシ

すると、カブトムシはグツグツグツと体の奥底から湧き上がる、強烈な力を感じ始めました。

「今や君は最強の力を手に入れている」とトゲカメムシは満足そうに言い、仕上げにカメムシコロンを塗ってやりました。

「さあ行くのだ!ゴーレム・カブリシャス!」

「グォー ファォォォォォォ~!」力強い雄たけびをあげながら、カブトムシは再び森に走っていきました。

カブトムシの背を見送りながら、トゲカメムシはカブトムシのツノが自分のものになったら、どれほど素敵だろうと想像するのでした。

邪悪な力が沸きあがってきたカブトムシ
邪悪な力が沸きあがってきたカブトムシ

クワガタがトレーニングしていると、カブトムシが鼻息荒くやってきました。

「クワァ!クヌギ森はアタイのもんだーっ!」と叫ぶと、ゾウの鼻でクワガタをつかみ、投げ上げました。

クワガタに戦いを挑むカブトムシ
クワガタに戦いを挑むカブトムシ

ズーン! 「カハッ!」 プロレス技を食らったクワガタは地面に倒れこみました。

「クヌギ森はアタイのもんだー!」再びカブトムシは勝利の雄たけびをあげました。

それを遠くから見ていたトゲカメムシとヒトスジシマカのランちゃん。「そろそろいいんじゃない?」とトゲカメムシが言うと、ランちゃんはカブトムシの背後ス~っと近づいて・・・ストローを頭にドスッ!

クワガタを倒したが、後ろから来たヒトスジシマカにやられるカブトムシ
クワガタを倒したが、後ろから来たヒトスジシマカにやられるカブトムシ

トゲカメムシの真の目的

ランちゃんはカブトムシの体液をチューッと吸い取って、カブトムシはあっという間にカラカラになってしまいました。

トゲカメムシはシッポや鼻を回収し、ついでにカブトムシのツノも「プチッ」と取り、満足げに笑います。「これもいただきますね」

「あ・・あなた・・・カブちゃんに何してんのよ!」クワガタがボロボロの体を起こしました。

聞かれたトゲカメムシは計画を聞いてもらいたくてワクワク!「計画のプレゼンをしてもいいですか!」

なんと彼の目的は「世界にフレッシュなカメムシの香りを届ける」ことだったのです。

トゲカメムシの狙いは世界中にカメムシの香りを届けること
トゲカメムシの狙いは世界中にカメムシの香りを届けること

世界中にフレッシュな生カメムシ(成体)を届けるために、たくさんの赤ちゃんカメムシを育てる必要があります。赤ちゃんにはパワードリンク「カメクル5000」を飲ませています。

実はこのパワードリンクの原材料に、力強い昆虫のエキスが使われているのです。取れたてのエキスはその日のうちに自社工場でパッケージング。新鮮なパワードリングとして出荷されているのです。

赤ちゃんカメムシを育てるために強い昆虫のエキスが必要
赤ちゃんカメムシを育てるために強い昆虫のエキスが必要

クワガタの逆襲と友情

「そんなこと・・・させないわよ・・・」クワガタは大胸筋から「昆虫ゼリー」を取り出し、チュッチュッチュッとパワーチャージ。

「ファイヤーボルテージ!!」「カブちゃんのエキスを返せー」

昆虫ゼリーを舐めてパワーチャージするクワガタ
昆虫ゼリーを舐めてパワーチャージするクワガタ

クワガタはランちゃんを捕まえて、ギュウー!ランちゃんもたまらずブー!とエキスを吐き出してしまいました。

「あまずい」とトゲカメムシは木の陰に隠れようとしました。

カラカラに干からびたカブトムシを持つクワガタ
カラカラに干からびたカブトムシを持つクワガタ

クワガタはすかさず、「カブちゃんを元に戻しなさいよっ!!」とカブトムシを投げつけましたが、すっかり乾いてしまったカブトムシはパサッと地面に落ちました。

「また来るね~♥」とトゲカメムシとランちゃんは飛んでいきました。

トゲカメムシは逃げ、カブトムシに昆虫ゼリーを与えるクワガタ
トゲカメムシは逃げ、カブトムシに昆虫ゼリーを与えるクワガタ

クワガタは、倒れこんだカブトムシを優しく起こし、昆虫ゼリーを舐めさせましたが、反応がありません。

そうそう、大事なものを忘れていました。「カブちゃんの~部品は~ど~こかなぁ~」とキョロキョロとあたりを探しました。

「あった!あった!カブちゃんの~本体~♪」

カブトムシの魂であるツノを戻してやるクワガタ
カブトムシの魂であるツノを戻してやるクワガタ

「お前の魂・・・ここにあるじゃねえか」なんて言いつつ、本体であるツノをカブトムシに付けてやるのでした。

新たなるカブトムシの誕生

ところがクワガタはウッカリ、ゾウの鼻や謎の触手も取り付けてしまい、カブトムシは奇妙なキメラに!

クワガタは「力は自分でつけるものよ」とカブトムシに話しかけました。

力は自分でつけるものだと言い残し、飛び立つクワガタと残されたキメラ・カブトムシ
力は自分でつけるものだと言い残し、飛び立つクワガタと残されたキメラ・カブトムシ

「まだジムに間に合うぞー」とクワガタはジムに向かっていきました。「明日一緒にジム行こうねー」

残されたでキメラ・カブトムシは「明日、クワちゃんと一緒にジムに行こう・・・」と思うのでした。

(完)

登場キャラクター紹介

  • カブトムシ(カブちゃん) — えばりんぼうで負けず嫌い。力を信じすぎて失敗ばかりするが、どこか憎めない性格。
  • クワガタ(クワちゃん) — 駅前ジムに通う努力家。クヌギ森での正義担当。
  • ドクター・トゲカメムシ — 怪しい発明家。世界に「カメムシの香り」を広めるという危険な野望を持つ。
  • ヒトスジシマカ(ランちゃん) — 吸血が得意なアシスタント。トゲカメムシの右腕的存在。
絵本「クヌギ森のへんしんしっぽ屋さん」の登場昆虫
絵本「クヌギ森のへんしんしっぽ屋さん」の登場昆虫

その他のクヌギ森シリーズ

クヌギ森のドーナツムシ

クヌギ森にドーナツ屋さんがやってきた。初めて食べるドーナツに昆虫たちは大はしゃぎ。ところが、クヌギ森中のドーナツが盗まれる事件が発生。犯人を捕まえるため、クヌギ森の昆虫たちはみんなでワナを作るのでした。

昆虫絵本|クヌギ森のドーナツムシ
昆虫絵本|クヌギ森のドーナツムシ

クヌギ森の巨大ロボット

絵本|クヌギ森の巨大ロボット 表紙
絵本|クヌギ森の巨大ロボット 表紙

クヌギ森のナゾのキノコ

昆虫絵本クヌギ森の謎の絵本 表紙
昆虫絵本クヌギ森の謎の絵本 表紙

クヌギ森の夏祭り

クヌギ森では夏が来ると昆虫たちの夏祭りで大賑わい。

昆虫絵本 クヌギ森の夏祭り
昆虫絵本 クヌギ森の夏祭り

クヌギ森の大運動会

蜜を取り合う昆虫たち、どうやらボーリングで勝負です。

昆虫絵本 クヌギ森の大運動会 表紙
昆虫絵本 クヌギ森の大運動会

クヌギ森のオバケランチ

最近、クヌギ森にお化けが出るようですが、その正体は?

クヌギ森のオバケランチ 表紙 昆虫絵本 どうぶつ出版社
昆虫絵本 クヌギ森のオバケランチ

コメント

タイトルとURLをコピーしました